イジワル同居人は御曹司!?
食後のコーヒーを嗜みながら、お土産のケーキを箱から出した。

中身は苺とラズベリー、バナナとチョコレート、ラフランスとモンブランの4種類のタルトが入っている。

彩りが綺麗で宝石みたい。

「どれにします?」私が小首を傾げて尋ねる。

「紗英が好きなのにすればいい」

じゃあ、と言って私がモンブランを取ろうとすると奏さんの眉がピクリと痙攣する。

きっと食べたいのだろう。

「やっぱりこっちにしよっと」

私が苺とラズベリーを手に取ると、そうか、と言って奏さんは微かに口元を緩めた。

「美味しいですね」なんつって、二人で和やかにケーキを食べていると、奏さんが一冊のパンフレットをテーブルの上に置いた。

よく見ると『ホームセキュリティサービスご利用のご案内』と表紙ににかかれている。

「まさか…」私はギョッとして奏さんに視線を向ける。

「加入しておいた。これで俺が留守の時も安心だな」

奏さんはドヤ顔でニッコリほほ笑んだ。


◇◆◇◆◇◆


「へえ、随分大事にされてんのね?」

歩が目を丸くして驚いた表情を浮かべる。

先日の痴漢騒動からホームセキュリティサービス導入までの経緯を掻い摘んで歩に話した。

「そんなんじゃないよ。また変な事件に巻き込まれるのが嫌なんじゃない?」

私は苦笑いを浮かべる。

どうだろう、と言って歩はハンバーグを切り分けてパクリと頬張る。

本日のランチは会社近くにある評判の老舗洋食屋さんに来ている。

歩はハンバーグ定食、私はビーフシチューオムライスをそれぞれオーダーした
< 64 / 328 >

この作品をシェア

pagetop