イジワル同居人は御曹司!?
断られる覚悟はしてたものの、こんな言い方するなんてあんまりだ。

「もう…いいです」

私は無言のままフラリと立ち上がり、階段を駆け上がる。

自室に入ると中から鍵をかけた。

「性悪メガネめ…」

そのままベッドに寝そべって頭から布団を被る。

悔しいけど奏さんの言うことは図星。

私は桜井に良く思われたくて必死だ。

こんな阿呆らしいことをしないと相手の気が引けない時点で脈がないって解ってるのに。

それに追い打ちを掛けるよう奏さんの一言は私を惨めにさせた。

絶対に許さん!

稼ぎのないフリーターに『娘さんを嫁にください』と言われた父親ばりに、私は胸に固く決意した。


翌朝

起き抜けの奏さんと洗面所でバッティングする。

「おはようございます」

「おはよう…あの、紗英」

奏さんは何かを言いかけたが私は「いってきます」と言って逃げるように家を出た。

夜も夜で夕飯の用意はしたものの、奏さんが帰宅する気配を感じるとコソコソと自室へ引き籠もる。

まるで父親を避ける思春期真っ只中の娘みたい。

自分でも大人気ないとは思いつつも、冷静になるまでもう少しだけ距離を置きたい。

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