きみの愛なら疑わない

時間の経過で私は理解した。浅野慶太のことが好きなんだと。

いつも話しかけにくい雰囲気を纏っていて、個人的感情を考慮しない冷たい人だと思っていた。私がそうさせてしまったと思っていた。でも違った。
よく観察したら先輩後輩関係なく回りを自然にフォローしていた。今も私を叱ったあとで励ましてくれる。

私は知っている。浅野さんの過去も、人柄も、優しいことも、仕事に厳しいけど助けてくれることも。そして女を見る目がないことも。
結婚が破談になって深く傷ついたはず。だから女性には特に冷たくて、不誠実な付き合いをしているのかもしれない。

私だけは知っている。

この気持ちに気づくのには遅すぎてしまったのだけれど。



◇◇◇◇◇



潮見から受け取った新店のメニュー写真をパソコンに取り込んだ。販促商品は冬を意識したシナモンのドリンクだ。

「ん?」

画面に開かれた写真の明らかなミスに気がついた。そうして上司である浅野さんに確認するために立ち上がった。
潮見との話の内容が衝撃的で話しかけるのは緊張してしまうけれど頭の隅に追いやって、私は数メートル離れた席に座る浅野さんに声をかけた。

「すみません、浅野さん……」

「何?」

浅野さんはちらっと私を見るとすぐにパソコンに視線を向けてしまった。
ほらやっぱり、人を避けている。
素っ気ない浅野さんが気になるけれど、今は仕事に集中しなきゃ。

「メニュー写真のシナモンロールラテなんですけど、確か写真撮影はガラスのカップでしたよね?」

「そうだけど」

「でも潮見が撮った画像を見たら陶器の白いカップで撮影されてます」

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