きみの愛なら疑わない

「あれ? 美紗さん?」

迷っていると後ろから声をかけられた。振り返って見た先には一台の車が停車していた。その車の運転席の窓から優磨くんが顔を出していた。美麗さんと衝撃的な再会をして以来数日振りに会った。

「こんばんは……」

「久しぶりですね……」

運転席の横に近づいて挨拶する私に優磨くんも複雑な顔をした。

「ごめんね……連絡しなくて……」

優磨くんも事情を知りたいと言っていたのに私は連絡することを躊躇った。

「大体は姉から聞いたので把握してます」

「そっか……」

浅野さんからじゃなく美麗さんから聞いたということは、浅野さんも優磨くんに話していないのだろうか。

「慶太さんに会いに来たってことはやっぱり好きなんですね。本気ですか?」

優磨くんも私の気持ちを疑っているのだろう。
当たり前だ。姉の結婚を壊して友人の浅野さんに近づいたのだから。

「うん。本気で好き。会いたくて来たの。呆れるよね……浅野さんを傷つけたのに」

優磨くんに軽蔑されてもおかしくないのに、私を見て怒るどころか微笑んでいるようにも見える。

「美紗さん、助手席に乗ってください。外は寒いですから」

「え、うん……」

優磨くんに促されて私は車の前から回って助手席に乗った。深く座った瞬間に優磨くんは私にお茶のペットボトルを差し出した。

「飲みます? 慶太さんに買ったんですけど、買いすぎだからいらないって怒られちゃって」

「ありがとう」

受け取ったペットボトルの他に、優磨くんの膝に置かれたビニール袋には数本のペットボトルとゼリーやプリンのカップが見えた。

「いっぱいだね」

「この倍の量を慶太さんの部屋に置いてきました」

優磨くんはいたずらっぽく笑った。

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