きみの愛なら疑わない

車内を失礼にならない程度に見回した。とても城藤の御曹司とは思えないコンパクトな車だ。バックミラーには交通安全のお守りが引っ掛けてある。
優磨くんが自分で運転してきたなんて意外だ。

「優磨くん一人で運転して来たの?」

「はい。会社の近くまで迎えに行って、病院に連れて行ったんです。慶太さんは今寝てますよ」

「そう……」

「でもまだ熱があるんで明日は会社を休んだ方がいいかもしれないですね。インフルエンザではないみたいなんですけど」

わざわざ迎えに行って病院にも連れて行くなんてまるで家族のようだ。だからこそ、私は浅野さん一人を傷つけただけでは済んでいない。

「優磨くんごめんなさい」

「何を謝ってるんですか?」

「何って……」

美麗さんから過去の私のことをある程度聞いているはず。それなのに態度を変えることなく、こうして横に乗せてくれた。

「結婚式に浮気相手を招いたことですか?」

「うん……」

「そうですね……美紗さんが姉と友達で、知らないふりをして慶太さんに近づいたって知った時は俺も怒りはしましたね」

手の中のペットボトルをぎゅっと握った。

「慶太さんは俺に何も言ってくれないから、姉の一方的な状況説明だけで蚊帳の外って感じましたし」

「ごめんなさい……」

「慶太さんにも俺にも、姉と友達だったって言おうとは思わなかったですか?」

「それは……」

秘密にするつもりだった。できることなら一生。

「黙っているつもりだった……私の最低な部分を隠して二人と親しくしていたかった……ずるくてごめんなさい……」

優磨くんに向かって深く頭を下げた。

「慶太さんとも俺とも、再会は偶然ですよね?」

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