きみの愛なら疑わない

「うん。本当に偶然……」

「慶太さんを騙して傷つけるつもりはなかったですよね?」

「それは絶対にない!」

「なら俺は美紗さんを許します」

顔を上げると優磨くんは微笑んだ。

「何もかも、悪いのは姉ですから」

優磨くんはビニール袋の中から炭酸飲料のペットボトルを出してキャップを捻った。プシュッとガスの抜ける音がした。

「浮気してその子供を妊娠したなんて、美紗さんが行動してもしなくても慶太さんが不幸になるのが遅いか早いかの違いだけです」

ゴクゴクと炭酸飲料を飲み込む優磨くんは私を責める気はないようだ。

「それに、美紗さんはもう絶対に慶太さんを傷つけたりしないですもんね」

ペットボトルのキャップを閉めながらそう断言する。
私を信頼しているのと、その信頼を裏切ったら許さないとほのめかすように。

「うん……絶対に傷つけない」

だって私は浅野さんのことが大切だから。

マンションの駐車場から車が出てきて私達の乗る車の横を窮屈そうに通りすぎていった。駐車場出入り口のすぐ前に停車していると他の車は通り辛そうだ。

「車をマンションの駐車場に入れちゃいますね」

優磨くんは慣れた手つきで数メートルバックすると、マンションの地下へと通じるスロープをゆっくり下りていく。空いたスペースに止めるとシートベルトを外した。

「優磨くん上手だね」

正直な感想を口にした。

「免許は一発合格ですよ。これは城藤のコネもお金も関係ない俺の実力です」

得意気な優磨くんに笑ってしまう。

「さすがにこの車は親の名義ですけど。自分の力だって言えるのは教習所に通うお金をバイトで稼いだことと、免許を取得したことくらいで」

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