きみの愛なら疑わない

「このマンションに女の人を連れてきたのは美紗さんが初めてです。というか、俺にちゃんと紹介した彼女も美紗さんだけなんですよ」

優磨くんは私を安心させる見慣れた笑顔を見せた。

「俺は美紗さんが慶太さんを変えてくれると思ってます」

「……できるかな?」

人生に干渉した厄介者だと思って避けられて当然なんだ。浅野さんは私のことを恨んでいるのかもしれないのに。

「できますよ。慶太さんもそれを待ってますから」

優磨くんはジーンズのポケットに手を回してチャラチャラと金属音がするものを取り出した。

「慶太さんの部屋の鍵です。美紗さんに渡しておきますね」

「え、でも……」

「慶太さんがどんなに酷い言葉を言おうと、美紗さんを特別に思ってます。俺には分かります」

躊躇う私の手を取って鍵を握らせた。手の中で存在を主張するかのように冷たくて重く感じる。

「弱ってるからこそ、今は俺よりも美紗さんなんです。だって酷い状態の慶太さんを変えてくれたのも美紗さんなんです」

心をほぐす笑顔を見せてくれる。私なんかよりも優磨くんの方がよっぽど必要だと思うのに。

「今は寝てますけど入って大丈夫ですよ。一度起こしてもいいかもしれませんね。美紗さんが来たらびっくりするだろうな」

優磨くんはいたずらを仕掛ける子供のように笑う。しっかりしているけれど、こういうところを見てしまうと年下なんだと改めて思い直す。

「そういえば美麗さんはどうしてる?」

「監禁に近い状態ですね。ほとんど家に閉じ込められて、外出するときは使用人が付き添ってます。精神的に不安定なので」

「そう……」

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