きみの愛なら疑わない

私はそんなことを考えながら二人を交互に観察していた。そしてうっかり優磨くんと目が合ってしまうと彼はニコッと笑ってくれる。すぐに目を逸らす浅野さんとは大違い。対照的な二人は見ていて面白い。

無意識に雑誌のページをめくり視線を落とすと、視界に飛び込んできた写真を見て息を呑んだ。見開きページにポーズをきめて写った四人の男性たちの写真。それを見た瞬間、私は慌てて雑誌を閉じた。

見てはだめ。これを見せてはだめだ。

「足立さん?」

声をかけられ顔を上げると浅野さんと優磨くんが私を不思議そうな顔で見ていた。

「大丈夫? どうかした?」

浅野さんが珍しく私を心配してくれる。勢いよく雑誌を閉じたことに驚かれてしまったようだ。

「あ、あの、大丈夫です……」

絶対にこの雑誌を見せてはだめだ。

「私、帰りますね……」

「え、もうですか?」

優磨くんが声をかけてきたけれど、私は急いで立ち上がって雑誌をラックに戻した。

「すみません……お先に失礼します」

慌てて財布からコーヒーの代金を抜いて優磨くんに渡すと、浅野さんと優磨くんの顔を見ないでブックカフェを出た。

動揺した勢いで出てきてしまったけれど、私の行動は不自然だっただろう。でも思わず逃げたくなってしまったのだ。雑誌の中から私を見つめる男性と浅野さんから。

開いた雑誌には去年デビューしたバンドの写真と共にインタビューが載っていた。それを直視できなくて焦ってしまった。
あのバンドを、特にあの男を浅野さんの目に触れさせたくない。

バンドの存在を確認する度に私の過去も同時に脳内再生された。
馴れ馴れしく浅野さんの隣に座る資格なんてないのだと、彼らが私に告げるのだ。




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