きみの愛なら疑わない
自惚れなんかじゃない。私に対する露骨なアピールに熊田さんをどんどん嫌いになる。
同期だから熊田さんと親しい付き合いをしようと思ったことはない。所属が違うと関わることも最低限で、特に店舗勤務であれば内勤の私は顔と名前しか知ることがない。それなのに熊田さんは積極的に関わろうとしてくる。同期全員と仲良くしたいわけじゃないことをこの人は察してくれない。
「はい、どんどんいっちゃいな」
熊田さんは焼酎の入ったグラスまで私の前に置いた。そろそろお酒をセーブした方がいいかもしれない。頭がぼーっとしてきた。
誰かに助けを求めようにも、同じテーブルの人はみんな誰かと話に夢中だ。熊田さんを挟んで隣には今江さんが座っている。私に絡むのをやめて今江さんにいってくれないかと期待したけれど、今江さんもこっちの話題に入る気配はない。
「足立さんいつ暇?」
いつの間にかじりじりと近づいてきた熊田さんの膝と私の膝は今にもくっついてしまいそうだ。
もうこの人嫌だ……気持ち悪い……。
その時お店のバックヤードの扉が開いて浅野さんと潮見が入ってきた。
「お疲れ様ですー」
私と目が合って微笑む潮見の顔を見てほっとした。
潮見は浅野さんと県外店舗に行っていた。忘年会に来られるのか分からなかったけれど間に合ったようだ。
「遅いよー……」
「ごめんね」
潮見が私の座るテーブルに近づくと他の同僚が席をあけた。
「浅野さんもこちらにどうぞ」
どこに座るか迷っている様子の浅野さんに潮見が声をかけた。
「潮見……」
「いいからいいから」
私のためと思って浅野さんを呼んだのだとは分かるけど、余計なお節介でもあった。横目で熊田さんの隣を見ると今江さんが浅野さんを気にしだした。
「じゃあお邪魔するね」
浅野さんは無表情で潮見の隣、私の向かいに座った。