きみの愛なら疑わない
「悪い意味じゃないんだよ! 美紗ちゃんは浅野さんに対して自信がないように感じたから……」
「それも正解」
私のことを知ったら、浅野さんは私を憎むかもしれない。
近づきたいのに怖い。でももっと知りたい。
「潮見とは学生の時に会いたかったよ。潮見のアドバイスがあったら、もっとまともな学生生活が送れたのに」
「んー、私も美紗ちゃんとあんまり変わらないよ。恋愛においてはね」
ニコニコと笑う潮見は同い年なのに私よりも大人びている。思ったことを率直に言ってくれる。私の無自覚な悪いところも。当時の悩みだって潮見がそばにいてくれたら何かが変わったかもしれない。
「美紗ちゃん、頑張って」
「うん……そうだね」
浅野さんをもっと知りたい。彼がこの数年をどんな思いでいたのか。閉ざした心の奥を。
◇◇◇◇◇
エレベーターに乗ると目的の階の途中で止まり、開いたドアの向こうに浅野さんが立っていた。
「お、お疲れ様です……」
「お疲れ様」
会うのは何日振りだろう。あれ以来まともに会話をしていないので緊張してしまう。エレベーターの奥に詰めた私の前に浅野さんが乗ってきてボタンを押した。
「足立さん」
「はい」
「この間のカフェによければまた行ってみて」
「え?」
意外な話題に驚いて浅野さんを見るけど、彼は顔を少し後ろに向けただけで私と目を合わせない。
「足立さんも本好きなのかなって勝手に思っちゃって。それと、お客様目線でも自社の店舗に行ってみてほしいんだ」
わざわざブックカフェに行くなんて本好きだと思われたのかもしれない。確かに嫌いじゃないけれど、浅野さんからそう言われるなんて意外だった。
「優磨もまた是非って言ってたから」
「優磨くんがですか?」
「足立さんにまた来てほしいらしいよ」