きみの愛なら疑わない
「はいはい。そういうことにしとこうね」
潮見にはお見通しなようだ。けれどそれ以上何と誤魔化せばいいのか分からない。
入社当時浅野さんにお世話になったのは本当だけど、庇う理由はそんなことじゃない。
それに浅野さんが男の人が好きというのも事実じゃない。だって過去に結婚しようとしていた相手は間違いなく女性だったから。トラウマで女性が苦手になったということは十分考えられるけれど。もしもそれが本当だとしたら、私は余計に苦しくなる。
「まあ私も浅野さんが男性が好きっていうのは嘘だと思うけど」
潮見はカレーを頬張りながら言った。
「そう……だよね」
「だってヤリ逃げの常習犯でもあるらしいし」
「はぁ!?」
またも大きな声を出してしまった。
「美紗ちゃん声……」
「何? どういうこと?」
前屈みで潮見に詰め寄った。
「浅野さんが実は女癖が悪いかもってこと」
「は……え……」
「この間うちの店舗管理課の男性と、他社の女性で飲み会したんだって」
「へー……」
突然出た飲み会の話と浅野さんが結びつかなくて私は首を傾げた。
「それで、たまたまその他社の女の子の中に私の友達がいてね、友達が言うには浅野さんが他の女の子をお持ち帰りしたらしいよ」
「…………」
「でもその子と付き合ってるわけじゃないらしいの。一晩だけの関係だったって」
「…………」
言葉を失った。浅野さんが女の子と二人になったその後の展開が私を混乱させた。
「これも噂なんだけど……」
潮見は呆然としている私には気づかずに話を進めた。
「社内の女の子には手を出さないけど、プライベートでは女の子と結構遊んでるって聞くよ」
これには更に驚いた。浅野さんはもうそういうことに縁遠くなったと勝手に思い込んでいた。本当に、私の勝手な思いなのだけど。