鉢植右から3番目


 ・・・まさか、毎日ラーメン(しかも具材なし)ばっか食っていたとは!!あんぐりと口を開けてしまったままで私はヤツをただ見詰める。

 何か作ってると思ってた。やつが何回か料理(こんなんでなしに、ちゃんとした料理)をしているのを私は見たことがある。だから、出来るのを知っている。それゆえの罪悪感の少なさもあったのに!

 実際は、毎日毎日まーいにち、晩ご飯はラーメンだったらしい。

「・・・どうして他のもの作らなかったの。作れるでしょうが」

 前髪の間から目だけをあげて私を見て、首を傾げた。何言ってんだ?って顔だった。

 ぼそっと答える。

「面倒臭かった」

 ・・・ああ、そうかよ。

 ぐったりと疲れて私は椅子にもたれかかる。結局、そうなのね、君はね。それに、いきなり居なくなってこれまたいきなり戻ってきた私には何の質問もないらしい。

 やっぱりこれは、興味がないってことか・・・。がっくりとうな垂れた。くっそう、さっきの坂田君との場面に戻りたい。早まったか私!!

 そこで、いや、でも!と思いついて顔を上げた。この人、鉢植の世話してくれていたんだよね。それのお礼は言わないと・・・。

「あの、外の鉢植・・」

「うん?」

 顔を上げたヤツに微笑んだ。にっこりと、大きく。

「世話してくれてたんだね、ありがとう。帰ってきたら干からびてるだろうなあと覚悟してたから、驚いた」

 すると、食べ終わったやつはご馳走様と呟いてから言った。

「大家さん」

「は?」


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