鉢植右から3番目
叫び声がうるさかったらしく後ろに身を引いた男が、少し眉を顰めながら口を開く。
「・・・・何でこんなところで寝てるんだ?」
「へっ!?は・・・えーっと・・・」
目は覚めたけどパ二くった私はきょろきょろと見回す。
台所の電気だけつけて手には雑巾を握ったまま座り込んでいた。
ありゃあ~・・・!ちょっと休憩、のつもりががっつり寝てしまったんだああ~!
「・・・あ、その・・・寝てしまったのね、私」
わたわたと体を起こす。
彼も立ち上がって、居間の電気をつけた。今日もラフな格好。どうやらスーツ族ではないらしい。
時計を見るともう夜も11時半過ぎ。
ヤツは今帰宅したところなんだろう。私はある程度の片付けを終えて、台所の床を雑巾掛けしていたんだった。
「うわ~、こんな時間じゃん!お腹、すいてるよね?」
雑巾をバケツに投げ入れて、私が振り返ると、相手は無言のまま頷いた。
はいはい、ちょっとお待ち下さい!
先に食べておくつもりだったので支度は済んでいた。っつっても簡単な親子丼と根野菜の炊いたのと味噌汁だけど。
寝ちゃうなんてどうよ~!と言いながら、バタバタと私は動き回って用意した。
まだ勝手が判らないのはお互い様で、彼はしばらく洗面所やら自分の部屋やらをうろうろしていた。