鉢植右から3番目


 何がどこにあるかを確かめているらしい。最初に全部やって、後は休みたいタイプか?手を動かしながら目の端でヤツの行動を観察していた。

「はい、出来た。ごめんね、お待ちどうさま」

 声をかけるとやってきてストンと椅子に座る。

 一日働いてきた割にはあまり疲れた様子もない。

「頂きます」

 お辞儀までしたから驚いた。おお!面倒臭がりでも躾はされてるんだなあ!って。確かに、ちゃんとした家の息子さんっぽい・・・。

 私も同じようにする。

 一度寝てしまったけど、私もお腹が空きまくりだった。

「・・・いきなり人の住む家になったな」

 前でヤツが呟いた。私は顔を上げる。だけどヤツはご飯に集中していて視線は合わなかった。

 無口ってわけでもないのか。よかった、会話にはなりそうで。私は嬉しくお味噌汁をすすって、そうそう、と話す。

「洗面所とお風呂はバッチリでしょ?何かリクエストある?使ってるシャンプーとか、こだわりあるなら買っておくよ」

 首を振った。・・・何でもいいってことか?ならパパイヤの香りとかにするぞ、コラ。

 このダレ男からパパイヤの香り。想像して、つい味噌汁を噴出しそうになった。

 そしてしみじみと考える。

 この漆原大地って男は、真っ直ぐに立つ。姿勢も別に悪くないし、歩みが亀のようにノロイ、とかでもない。だけどもいつでもだらだら~っとした雰囲気があるのは何故?


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