お前、可愛すぎてムカつく。


「き、桐谷くん!大丈夫だからっ!私先輩に会ってくる!」


「大丈夫じゃねーだろ、この前どんな目に合わされたか忘れたのかよ」


「うん…でも私も話したいことあったし…」


あれから先輩と話してなくて、モヤモヤしていた。

どうしてあの日なにも言わず帰っちゃったのか、理由が知りたかった。


「……じゃあ俺もいくわ」


「いい!一人で行けるからっ」


これ以上桐谷くんに迷惑かけられないし…


腑に落ちない顔をしている桐谷くんを置いて、私は急ぎ足で先輩の元へと向かった。


先輩は裏庭にいるらしい。


前みたいなトキメキは一切なくなっていた。
その代わり、変なドキドキ感がある。


そう、恐怖心だけだった。



先輩の友達の後をついていくと、そこには颯太先輩の他に数人の先輩たちがいた。

怖くなってきたけど、あとには引き返せない。


よく見ると、煙草を吸ってる先輩もいて…


この前あのアパートで嗅いだ煙草の香りを思い出して気持ち悪くなった。

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