お前、可愛すぎてムカつく。
「あ…あの…私…」
ドクドクと鳴り続ける心臓の音。
怖くて足が震えていた。
「近くにバイク停めてあっから今からこいつといってくんねー?」
そう言って先輩が友達にバイクの鍵を投げ渡した。
「俺かよー!?やだよ、俺もボコられるの」
鍵を受け取った先輩が笑いながら言う。
踵を返して逃げようと思っても体が動かなかった。
「先輩…私いきたくないですっ」
その言葉に颯太先輩は笑っていた。
「行かないっていう選択肢はないよ。ビン投げつけた上に逃げた彩ちゃんが悪いんじゃん」
「そんな…」
「彩ちゃんさ、なんか勘違いしてる?」
立ち上がり、先輩が私に近寄ってきた。
「俺があんたに気があるとでも思ってた?」
「え…?」
「誰が地味な女相手にするかよ。最初から冬弥さんに売るつもりで遊んでやってたんだからな」
鈍器で頭を殴られたような…
ショックで言葉がでなかった。
周りの先輩たちが「颯太ひでぇ~」とゲラゲラ笑っているのが聞こえる。