黄泉の本屋さん
「あ、あの。ここ・・・何かあったんですか?」
初対面でこんなこといきなり聞くのは驚かれるかもしれないけど。
花束が気になったって聞くことは変じゃないよね。
少しドキドキとしながら返事を待つ。
「・・・昔ね、ここで事故があったの」
「事故・・・」
「そう。丁度、私の結婚式があった日に」
やっぱり、黒瀬さんの事だ。
「それが、14年前の今日なの」
「今日・・・?」
黒瀬さんをちらっと盗み見ると、黒瀬さんも驚いたように目を見開いていた。
長いこと彷徨っていたし、日付もわからなかったのかもしれない。
今日が、命日だったなんて。
「大切な、人だったんですか?」
黒瀬さん、なにが聞きたい?
なにを、伝えたい?
聞いてあげたい。
伝えてあげたい。