黄泉の本屋さん
「ええ・・・。とても」
亜紀さんは懐かしむようにやさしい瞳で呟いた。
「幼なじみだったの。少し引っ込み思案で、怖がりで。男の子なんだけど、いつも私の後ろに隠れてるような人でね」
「へぇ」
「好きだった・・・・」
「え?」
「友だち、というか、幼なじみとして、だけど。本当に、好きだったの。そうだなぁ、家族愛みたいな。すごく近い存在でね」
懐かしむような声に。
私は息が詰まる。
泣いてはダメ。
ちゃんと想いを聞かなきゃ。
黒瀬さんが、晴れやかな気持ちで成仏できるように。
「ずっと、続いていくと思ってたの。でも、・・・彼は、死んでしまったの。結婚式これないって言われて。でも、一番見て欲しい人だった。当日も、いないってわかってても、探してしまってた」
「・・・っ」
「それが、協会の近くで事故にあったってあとから聞いて・・・。もしかしたら見に来てくれてたんじゃないかって。都合のいいこと考えたりして・・・」