麗しき星の花
 上がった息を整え、寝転んだまま痛む鳩尾を撫でるシンは、薄い空の色を見上げながら、昨日見た『決闘』の様子を思い浮かべた。

 瑠璃と霸龍闘。刀と銃の、一歩間違えば命に関わる戦い。それを毎日続けているという彼らの気概に圧倒させられた。

 ぞくぞくした。

 怖い、とも思った。

 けれども何か、胸の奥を刺激させられる。武術バカと言われそうだが、ワクワクするのだ。怖いけど──愉しい。

「おっし!」

 痛む鳩尾もなんのその。勢いをつけて起き上がり、「もう一回!」と不敵な笑みを浮かべると、リィは溜息をついた。

「もう、ご飯の時間だよ……」





 一時間目の授業は英語だ。

 教科書を手に教壇に立つ金髪碧眼の美人教師に、生徒たち──特に男子生徒は熱心な視線を送っている。

 今日も素晴らしい初代けしからん乳。思春期に入ったばかりの生徒たちにはちょっと刺激が強いのか、たまに鼻血を出して保健室へ運ばれる生徒がいる。鼻血ごときで先生を見つめる時間を減らされてたまるかと、ティッシュを鼻に詰め込んで頑張る生徒もいる。神楽先生、抜群の破壊力ですね。

 そんな授業の中、シンは今朝のリィとの組手を思い浮かべていた。何度シミュレートしてみても悪いところがわからない。

(リィに勝てないなら、瑠璃や霸龍闘にも勝てないだろうなぁ……)

 頬杖を付きながら、瑠璃と霸龍闘の動きを反芻する。あれに勝つためには、父くらいには強くならないと駄目だろうか……。

(父さんかぁ)

 目を閉じて、昔を思い出す。

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