麗しき星の花
 そういえば、病気のときはいつも傍にいてくれた。父も母もシンも。みんな早く良くなりますようにと、優しく頭を撫でてくれるのだ。それがとても気持ちよくて、安心出来て、良く眠ることが出来た。

 あたたかな手を思いだし、穏やかな気持ちになったリィは、ウトウトとまた眠りに入ろうとして。

 ガターン、という激しい音と、「あだっ!」という叫び声に心臓を跳ね上げた。シンが椅子ごと床に倒れたのだ。

「あいててて……あ、ごめん、起こしたか」

 倒れた椅子を起こし、座ろうとしたシンは目を覚ましたリィに気付く。

「うん……だいじょうぶ?」

「ああ。リィは?」

 シンはリィの額に手をやった。

「熱っ! まだ下がんないな……。そうだ、水飲め、水」

「いらない……」

「飲んどけ。脱水起こすぞ」

 言いながら、ストロー付きのカップをリィの口に突っ込む。その後で冷たいバニラアイスクリームを何口か突っ込み、また水を飲ませ、氷枕を交換してやった。

 両親の代わりに妹の面倒を見ようと頑張っている兄なのだ。ちょっと荒々しいけれどそれも愛嬌だ。

「あとなんか欲しいか?」

「ううん……。シン、ちゃんと自分の部屋で寝て。明日も学校だよ……?」

「平気だよ」

 そう言い、シンはリィの頭を撫でてやる。

「俺のことはいいから寝ろ。寝ないと熱下がんないぞ」

 シンも少し、不安げな顔をしていた。

 昼間、「リィが死んだらどうしよう!」と喚いてメイドや執事たちに「大丈夫ですから落ち着いてください!」と宥められていた。

 それでも落ち着かないので、指輪に魔力を注ぎ込んでもらい、現れた魔法陣からフェイレイとリディルの「落ち着け」という手紙と薬草を送ってもらったのだった。

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