麗しき星の花
 心配をかけてしまった。

 リィは布団から手を出し、ベッドの上に置かれていたシンの指をきゅっと握った。

「シン、ありがと……」

 精一杯の微笑みを浮かべると、シンは軽く目を見開いてから、情けない笑みを浮かべた。

「おう」

 ぐしゃぐしゃと、少し強めに頭を撫でられる。

 それで頭がガンガン痛んだけれど、リィは怒らなかった。


 その後シンはまた椅子に戻って眠りこけ、そして椅子ごと倒れるというのを二度ほど繰り返した。その度に起こされるリィは「ここで寝たらいいよ」とシンをベッドの中に引き入れた。

 ダブルベッドなので十分な広さではあったが、朝方シンはベッドから転げ落ち、そのまま床で寝たのだった。

 シンは幼児並みに寝相が悪い。





 リィの熱が下がったのは、それから2日後。

 その日は土曜日だったので、学校は休みだった。丁度いいから身体を動かそうとしたリィは、シンとメイドたちに止められてリビングのソファに押し込められた。

「土日は大人しくしていろ! また熱出すぞ!」

「もう平気だよ……」

「駄目だっ。父さんと母さんも心配してたぞっ。心配しすぎて魔族や刺客にやられちゃったらどうすんだ!」

 シンは両親から来た手紙を広げて見せた。それを見て、リィは渋々大人しくなる。そこに、部屋のドアをノックする音が聞こえた。

「はぁーい。お暇しているリィファちゃんに、いいものを持ってきたわよ~」

 ドアを開けて入ってきたのは、琴音専属執事、南原だ。その後に続いて、「お邪魔いたします」と琴音が続き、玲音が続き、最後に玲音専属執事、東条がお茶の用意を乗せたワゴンを押して入ってきた。

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