麗しき星の花
 精霊たちの力を混ぜ合わせることで何が出来るのか。戦闘にはどのように生かせるのか。

 それを考えながら、更に魔力の精度を上げるための訓練に取り入れたものの一つが、魔銃の弾を生成する作業だった。





 魔力の暴走を想定し、行っているのはいつも組手をしている庭だ。

 芝生の上に座り込み、両手を目の前に翳しているリィの足元には、鉛色の銃弾が山のように重なっていた。翳した両手の真ん中に四大精霊たちの力を絶妙の配分で集積し、圧縮する。そうして生み出された弾が、コン、と重さのある高い音を響かせながら鉛色の山頂に落ちた。

 そこでリィはふう、と息をつく。

「だいぶ、細かく作れるようになったと思うけど……どうかな?」

 リィを囲むように飛んでいる精霊たちに目を向けると、手のひらサイズの彼らは笑顔で頷いた。

 赤い蜥蜴に跨る、炎を纏った少年の姿のサラマンダー。人間の女性の容姿をした、水色ドレス姿のウンディーネ。同じく女性の姿をし、葉っぱの冠を頭につけたシルフ。緑色の三角帽子を被った小さな男の子の姿のノーム。

 ミルトゥワの精霊たちはみんな女性の姿をしているが、地球では様々な形態を取っているようだ。

「ぐぬぬ。リィはなんでそんなに小さく出来るんだ」

 リィの向かい側で同じく両手を翳しているシンの眉間には、深い皺が寄っている。

「形を作るときに、魔力をたくさん注ぎ込んで、ぎゅーっと、するの……」

 魔銃を武器にしているリィは、魔力の操縦はシンよりも長けている。アドバイスをしようと顔を上げたのだが、シンの前にあるものを見て絶句した。

「いっぱい注いだらこんなんなったんだけど」

 シンは苦い顔で地面を見た。

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