麗しき星の花
『リィ、大魔王を倒して桃姫を助けたら、また違う街に来たぞ』

「今度はどんなところ……?」

『広々した草原だな。目の前にいる青くてプニプニしてる愉快な顔のスライムが、仲間にして欲しそうに俺を見ている』

「……仲間にしてあげて」

『わかったー』




『リィ、スライム仲間にして歩いてたら、道端に戦闘機が落ちてたから乗ったんだけど』

「どうしてそんなものに乗ったの」

『カッコイイ乗り物が道に落ちてたら乗ってみたくなるだろ。そしたら、後ろから敵っぽい戦闘機に追いかけ回されてさ。操縦とか良く分かんないし、困ってんだよ』

「……とにかく、撃墜されないようにがんばって」

『りょーかーい』




『リィ、リィー! 真っ暗な屋敷の中を死体が歩いてるー! いっぱいいるー! 犬とかカラスとかガタイのいい怖い顔のおっさんが逃げ場がないのに襲ってくるううううー!』

「逃げて! とにかく逃げて! そこでやられたらシンもゾンビになっちゃう!」

『なーにいいいい!? あっ、やたらデカイ豆腐が死体に襲われるたびに「なんやねん、なんやねん」言いながらナイフ振り回してるぞ! 天神っておかしなのが多いよな、なんて生物なんだ、あれー!』

「関西弁の豆腐……! シン、その豆腐、何色?」

『なんか赤っぽい……』

「危険だよ。豆腐が死んじゃう……!」

『なに、死んじゃう?』

「シン、その豆腐を守って。一緒に警察署の屋上に行って、ヘリで脱出して!」

『分かった、よく分かんないけどやってやる!』


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