麗しき星の花
 その数分後。

『リィー、やけに平面的な場所に出たぞ! 向こうからきた亀みたいなヤツに当たったら体が小さくなったんだけど!』

 報告を受けながら、リィはタブレットを操作する。

「シン、その亀はジャンプして踏みつけて倒して。蹴り飛ばすといなくなるけど、壁に跳ね返って戻ってくるから注意して」

『分かった!』

「それから、上にブロックがあるでしょ?」

『あ? ああ、あるある!』

「ハテナって書いてあるブロックを頭突きして。そしたら赤いキノコが出てくるから、それを食べて」

『キノコ? ……おりゃっ! んっ? なんか出た! キノコって水玉のか?』

「そう。……体、戻った?」

『戻った戻った、なにこの不思議キノコ! ……おわっ? なんか目の前を髭の配管工が通り過ぎていった! うわー、あのおっさんジャンプ力すげー!』

「……! シン、その人についていって! きっと出口まで導いてくれるから……!」

『りょーかーい!』

 そこで通話を切り、リィは難しい顔でタブレットと睨めっこする。

 映し出されているのは双子の髭配管工が、大魔王から桃姫を助けるゲームのホームページだ。シンがいるのはどうやらその世界らしい。

 素晴らしく方向音痴な兄は、本当に素晴らしく迷子になっているようだ。これは母から貰った精霊王の指輪を使って迎えに行った方が早いかもしれない……と思いながらも、シンならきっと自力で帰ってくると信じて次の電話を待つ。

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