麗しき星の花
あのうさぎはどこで売っているんですか。
そういう問い合わせが次々とやってくるようになり、それを聞きつけた悪い売人に五所川原の販売権を奪われそうになっているところに、何故か柊真吏が颯爽と現れたのだ。
「橘花音はこの柊真吏と契約済みだ」
その一言ですべて片付いた。
花音は雑貨屋を営むなど考えたこともなかったのだが、五所川原は一番辛いときに支えてくれたパートナーである。その愛らしい彼(?)を手にし、喜んでくれる人がいるのなら……と、販売するに至った次第だ。
現在は街に小さな店舗を持ち、ネット販売も始めたところだ。売上げは、ぼちぼちと。
「この間作ったスマホ用クリーニングポーチは女子社員に好評だった。店に出そうと思う」
「そうですか! 良かったぁ、あれはちょっと自信作だったんです。五所川原くんをミニキャラ風にアレンジしてくっつけて……」
手を動かしながら笑顔で説明していると、真吏がふっと笑った。
その笑顔に花音は動きを止めて固まる。
「……どうした」
花音が固まったので、真吏は怪訝そうに眉を潜める。
花音は昔を思い出していた。
五所川原を兄の和音に作ってもらったのは、小学六年生のときだ。それ以来、花音は自作したものを含め、肌身離さず持っている。
橘家を含む御三家は、春のお茶会、夏の納涼会、秋のお月見会、正月の新年会、それ以外でも度々交流がある。
そこで真吏に会ったとき、『お前はその年でそんな玩具を持ち歩いているのか、恥知らずめ』と目で言われたような気がした。
気がしただけで、はっきりと口に出して言われたわけではない。
ただ、溜息をつかれて冷たい瞳で見下ろされただけだ。
そういう問い合わせが次々とやってくるようになり、それを聞きつけた悪い売人に五所川原の販売権を奪われそうになっているところに、何故か柊真吏が颯爽と現れたのだ。
「橘花音はこの柊真吏と契約済みだ」
その一言ですべて片付いた。
花音は雑貨屋を営むなど考えたこともなかったのだが、五所川原は一番辛いときに支えてくれたパートナーである。その愛らしい彼(?)を手にし、喜んでくれる人がいるのなら……と、販売するに至った次第だ。
現在は街に小さな店舗を持ち、ネット販売も始めたところだ。売上げは、ぼちぼちと。
「この間作ったスマホ用クリーニングポーチは女子社員に好評だった。店に出そうと思う」
「そうですか! 良かったぁ、あれはちょっと自信作だったんです。五所川原くんをミニキャラ風にアレンジしてくっつけて……」
手を動かしながら笑顔で説明していると、真吏がふっと笑った。
その笑顔に花音は動きを止めて固まる。
「……どうした」
花音が固まったので、真吏は怪訝そうに眉を潜める。
花音は昔を思い出していた。
五所川原を兄の和音に作ってもらったのは、小学六年生のときだ。それ以来、花音は自作したものを含め、肌身離さず持っている。
橘家を含む御三家は、春のお茶会、夏の納涼会、秋のお月見会、正月の新年会、それ以外でも度々交流がある。
そこで真吏に会ったとき、『お前はその年でそんな玩具を持ち歩いているのか、恥知らずめ』と目で言われたような気がした。
気がしただけで、はっきりと口に出して言われたわけではない。
ただ、溜息をつかれて冷たい瞳で見下ろされただけだ。