麗しき星の花
 眩い焔が聖の手を包み込む。その焔が一直線に走ると、そこに透明な剣身を持つ長剣が現れた。シンのアストレイアと同等の長さだ。

 高い音を立てて下に振られた剣からは、黄金にも似た焔が爆ぜる。聖が火の属性を持つのだということが感じられる瞬間であり、何度見ても見惚れるほど美しい光景だった。

「──よろしくお願いします」

 言いながら、気合を入れ直す。

 普段の聖も清冽な気を纏っているが、この剣を出現させた後の彼はまさに神々しいの一言だった。知らず剣を構える身がしゃんと伸び、聖と対峙するだけで自らの魔力も洗練されていくかのようだった。

 ざり、とスニーカーが砂利を踏みしめる。

 ひゅっと短く息を吸い込みながら、いつものように剣を振るう。

 攻撃と防御。

 それを同時に行う剣技。

 攻撃してきた相手の剣を巻き込むようにして流しながら、剣先を相手に届ける。

 何度も何度もアストレイアと透明な剣身が交じり合い、火花が散る。薄暗くなってきた空の下には、鋭い金属音と風切り音だけが響き渡り……。

「ふわああ」

 そこに場違いなのんびりとした欠伸が。

「なー、それ、いつまでやるわけ? 見ててつまんねー」

 ヤンキー座りをしている神楽が、口を尖らせながらそう言った。

「お前がつまらなくとも別にいいだろう。これは大事な修行の一環だ」

 シンの剣を捌きながら、聖は静かな声で答える。その動きは会話をしながらでも些かの狂いもない。

「さっきから同じことばっかじゃねぇか。たまには派手に斬り合いとかやってみろよ」

「今は基礎をやっているところだ」

「基礎は大事だが、たまには息抜きも必要だよな。そう思うだろ、チビ」

「えっ、はい? 俺ですか?」

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