麗しき星の花
「シンは下位ながら、正当な皇位継承権の持ち主ですよ。そのお相手ともなれば、気品ある立ち居振る舞いが求められますが、貴女は……ふふ」

 “皇子”にはまるで相応しくないと、シャルロッテは言外に含ませた。

 野菊のツインテールの長い髪も、釣り目がちな愛らしい猫目も、スラリとした手足も、確かに美しくはあるけれど。

 “シン”には相応しくない。

 シャルロッテは目でそう語る。

 それを敏感に悟った野菊もまた、キュピーンと鋭く彼女を敵認定した。シャルロッテとは反対側のシンの腕にしがみつき、彼を挟んで睨み合う。

「おいシャルロッテ。俺は皇位なんて継ぐ気はないからな」

 そんな2人に若干戸惑いつつ、シンはそう言う。

「皇位うんぬんは置いておきましても、仮にも皇子のお相手。教養のない方では務まりませんのよ?」

「野菊は俺より頭いいんだぞ」

「まあまあ、それは素晴らしいわ。でも……民と皇族では求められる教養も違ってきますしねぇ」

「勉強するし! シンくんが皇子様だって知らなかったからちょっとビックリしたけど! 必要なら頑張るし!」

「それは大変結構ですわ」

 うふふ、と意地悪げに目を細めるシャルロッテに、ムキイイ! と目を釣り上げる野菊。



「……火花が見えるアル」

「怖ぇえ」

 早川兄妹が顔を引きつらせながらそれを見ていた。




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