麗しき星の花
「いや、正確には違うっていうか……そういう扱いではあるんだけど」

「なんで言ってくれなかったの!」

「別に必要ないかと思って。皇族とか、俺にはあんまり関係ないし……」

「関係はありますわよ。公家当主候補なのですから」

 シャルロッテが口を挟む。

 と、そこに早川兄妹が合流してきた。

「ちょっと霸龍闘くん! リィちんが皇女様だって知ってた!?」

 挨拶もそこそこに、霸龍闘を捕まえて怒鳴る野菊。

「あ、ああ、まあ、知ってたけど……」

 状況が良くわからない霸龍闘、野菊からシン、シャルロッテ、リィ、シルヴィへと視線を動かしていき、首を傾げた。

「誰アルか、あの美少女は」

 鬼龍も首を傾げている。

「兄ちゃんと姉ちゃんのイトコンだ」

「糸コン?」

 はてな、と首を傾げる鬼龍と、ちょっと間違えているシルヴィがほのぼのとしたやり取りをしている間にも、野菊は混乱していた。

 シンくんが皇子様。

 このガサツで食い意地が張っていて口調も庶民丸出しの、この赤い髪の少年が皇子様。方向音痴で赤点ばかり取るおばかで気品の欠片もないこの少年が……!

「能ある鷹は爪を隠すと言いますからね」

 野菊の思考が読めるのか、シャルロッテはコロコロと笑った。それにむう、と野菊が頬を膨らませると、シャルロッテは微笑んでシンの腕に抱きついた。

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