麗しき星の花
 けれども魔王を倒したときに一度だけ、フェイレイは精霊王を召喚した。それは星の危機故の特例で、『呪われし穢れた血』──現在は『真の勇者の血』とでも言うべきか──を持つフェイレイだけが、その力に耐えられたからだった。

 その一度交わされた契約のせいなのか、新たな精霊王として目覚めたリディルともその契約が成されたようだ。

 フェイレイはリディルに魔力を受け渡し、彼女を介して万物の力をこの世に出現出来るようになってしまった。

 どうして出来るようになったのかさっぱり分からないが、まあ、出来ちゃったものは仕方ない。使える力は使ってしまおう。

 思わず「お父さんは認めませんよ」と怒鳴りたくなるような開き直りぶりで、フェイレイとリディルは地球に別れを告げ、様々な星を渡ってミルトゥワを目指した。その途中でシンとリィは生まれたのだ。

 地球からミルトゥワまでは次元も宇宙も違うため、気の遠くなるような数の星を巡った。

 しかしミルトゥワと地球は“相性がいい”らしいので、繋いできた道を短縮、直通の道を開くことが出来たのだった。


 魔法陣の中央に立った2人に、仁王立ちになったフェイレイが声をかける。

「よーし、じゃあ、地球で守らなければならないことを復唱してみよう!」

「おうっ」

「はいっ」

 父の声に、元気よく返事をする子どもたち。

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