過保護な彼にひとり占めされています。



そう思う半面、頭に思い浮かぶのは先日の成宮さんのひと言。



『逃したくない』



……あれはつまり、相葉のことが好きということだよね。

相葉を追いかけてこの会社に入って、やっと相葉と再会して……それくらい、好き。



「おーい、追加で買い出し行ってくるけど、足りなそうなものとかある?」



その声に、ピクッと耳が反応する。

見ればそこには、黒いPコートの下にグレーのパーカーを着た、カジュアルな格好の相葉が皆に声をかけていた。

その隣には、ぴったりと体を寄せる成宮さんを連れて。



「あ、じゃあ飲み物少し追加でほしいかも」

「了解でーす、適当にいろいろ買ってきまーす」



答えた経理部の女性にメモをとりながら頷く彼女は、白いパーカーにショート丈のデニムパンツ、青色のニットキャップと先日のスーツ姿と打って変わってラフな私服姿だ。

黒いタイツを履いた長い足が、すらりと目立つ。



「ていうか、翠も下ごしらえ手伝えば?一応女子だろ」

「いや、だって私料理関係苦手だし」

「あー、イメージある」



意地悪く言う相葉に、成宮さんは「どういう意味よー!」と拗ねたように言うものの、嬉しそうな笑顔だ。

仲のいいそのふたりのやりとりに、また心に感じるチクッという痛み。



……って、だから私には関係ないってば。そう誤魔化すように、私は手元のピーマンを包丁でトン、と切る。




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