いつか晴れた日に
見知らぬ男が部屋にいたこと、そして、その男はストーカーかもしれないと。(上半身裸だったのは無かったことにした)

「それは怖いね。やっぱり鍵は出来るだけ早く付け替えたほうがいいと思う」

「そうですよね。明日にでも管理会社に電話してみます」

「じゃ、今日は部屋まで送っていくよ」

「え、でも、反対方向なんじゃ?」
そう言うと、池永さんは煙を吐き出しながら

「こんな話を聞いて、部屋まで送らない男なんていないよ」と微笑んだ。

池永さんの言葉に甘えてもいいのかな?
でも、そんな迷いは、ほろ酔いと心細さの前には消えてしまっていた。


お店を出て、地下鉄の駅に向かって歩く。

まだ時間は9時を少し過ぎた頃。

帰るには早過ぎる。そう思っているのは、わたしだけかもしれないけど。

「なに?」

「へっ?」

心の中を見透かされたようなタイミングで話し掛けられて、思わずヘンな声が出てしまった。

「あはは、何を考えていたの?」

「いえ、その……」

もう少し一緒にいたいなんて、言えるわけが無い。



< 16 / 159 >

この作品をシェア

pagetop