いつか晴れた日に
そう思うのに、何故だか『魔法が使える』と言われると、信じてしまいそうになる。

玄関で靴を脱ぎ、わたしの手を引いて部屋に入ると、そこでようやくわたしは自由になった。

「今日はね、怜奈ちゃんが大好きなポテトグラタンを作るから」
満面の笑みでそう言うと、男はスーパーの袋から食材を出していく。

買い物までしてきたの?
呆気に取られて、その様子を見ているだけのわたしに、何が楽しいのか男はクスッと笑った。

「手伝わなくていいよ」

「は?」

悪いけど、手伝いをするつもりなんて微塵も無い。


「怜奈ちゃんは着替えて、待ってて。30分ぐらいで出来るから」

それぐらい待てるでしょ?と付け加えて。

そして、どこから取り出したのか、いそいそとエプロンまで着けて、料理を始めてしまった。


……どうして、こうなるの?

わたし、流されてない?

でも、男は今包丁を持っている。下手に逆らわないほうがいいのかもしれない。


「おまたせ~」

その声を合図に、ポテトグラタンとグリーンサラダ、そしてコンソメスープがテーブルの上に次々と並べられていった。

……美味しそう。

グラタンの濃厚なチーズの匂いが急激に食欲を刺激する。
思わず、ゴクリと喉が鳴ってしまった。
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