いつか晴れた日に
ドアを閉めて、蹲るように膝を抱えた。
たった数日、一緒にいただけなのに、どうして、こんなに悲しくなってしまうのだろう。

「……怜奈ちゃん」

ドアの向こうから、涼の弱々しい声が聞こえる。

出て行かないでよ。行く所が無いって言っていたじゃない。
だったら、ここで一緒に暮らせばいいでしょ?

魔法の時間って、何なの?
まさか、チビタに戻るとか言わないよね?

「怜奈ちゃん、ここを開けて?」

「ヤダ」

子供のように拗ねるわたしに涼は辛抱強く話しかける。


「怜奈ちゃん、顔を見せてよ。もしかして、泣いているの?」

「泣いてないってば」

「だったら、ドア開けて?」

「ダメ」

「どうして?」

だって、涙でマスカラが滲んでるかもしれないし。
それに、涼の顔を見たら、止まった涙がまた零れてしまいそうだから。

「泣き虫なのは、変わってないんだね」

ドアの向こうで、涼が微笑んだような気がした。

「涼は勝手だよ。突然やって来て、強引に家に居座って、そして、また勝手に出ていくんだから」

意地悪を言うと、涼は申し訳なさそうに「ごめんね」と言う。





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