いつか晴れた日に
「怜奈ちゃんに逢えて嬉しかったよ」

「…………」

「怜奈ちゃんは、あの頃と同じで、俺に優しくしてくれたし。もう満足だよ」

「涼、止めてよ。そんなこと、言わないで」

二度と会えなくなるみたいじゃない。涼、お願い。傍にいてよ。一人にしないで。

「……行かないでよ」

「怜奈ちゃん、ごめんね」

ドアの向こうの涼が、このまま消えてしまうような気がして、慌てて立ち上がった。
その勢いのまま、ドアを開けて涼の胸の中に飛び込むと、涼は泣き笑いのように顔を歪めて、わたしをギュッと抱きしめた。


「ずっと、ずっと好きだった」


『いつか逢えると信じていたんだ』

涼の声が頭の中で響くように聞こえる。
しっかりと、涼の身体にしがみついているはずなのに、涼の温もりが感じられない。

……涼?
不安になって顔を上げると、涼はわたしを安心させるように優しく微笑んだ。
けれど、微笑んだ涼の輪郭が少しずつ曖昧になっていく。

『怜奈ちゃん、泣かないで』

「……涼、イヤだよ」

消えてしまうの?

『怜奈ちゃんのことを大切に想ってくれる人を見つけて。そして、幸せになって』

「そんなの、涼がいるじゃない」

声を出さずに涼はクスリと笑う。
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