いつか晴れた日に
亜紀は照れたように顔を赤らめている。
その表情は、本当に嬉しそうで。こんなに可愛らしく微笑む亜紀をわたしは見たことがない。

良かったね、亜紀。そう言ってあげたいのに、その一言が出てこない。

だって、池永さん。先週までわたしを食事に誘ってたよね?
いつの間に、亜紀とそんなことになっていたの?

池永さんに対して、好きという気持ちが残っているのか、自分でもわからないけれど。
それよりも、池永さんが亜紀のことを本気なのか、疑問に思ってしまう。

何も言わないわたしを不審に思ったのか、亜紀の表情が曇っていった。

「もしかして、怜奈も池永さんのこと、好きだった?」

探るような亜紀の言葉に心臓がギクリと嫌な音を立てた。

「ううん。違うよ。ただ、びっくりしちゃって。いつの間に、そうなったんだろうって」そう言って、無理矢理笑顔を作る。


わたしが池永さんとデートをしていたとは、とてもじゃないけど亜紀には言えない。
もし知ったら、亜紀はどう思うだろう?

友達でいられなくなるかもしれない。それだけは避けたかった。

わたしが黙っていると「このことは、秘密にしてね?」ともう一度、念を押すようにわたしを見詰める。


「もちろん、誰にも言わないよ。でも……」

「でも、なに?」

喉の渇きを潤すように、手元のビールをゴクリと飲んだ。

一番大切なこと。この問題がクリアになっていなければ、辛い思いをするのは亜紀だ。


「池永さんって、彼女いなかった?」

それも、結婚間近って噂だったよね?亜紀だって、知っているはずでしょ?




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