1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

「よも、警察から取り調べ、受けてないよな」

「…受けてません」

「なら、すぐにでも…」

「剣人さん、私、警察は信用できないです」

「よも…」

「だって、おかしいじゃないですか。そもそも14年前に…15年前に誘拐事件なんて起きてないんです。しかも、監禁されていたなんて学校に所属していた記録が消された可能性があるってことですよね」

 年が明けていること忘れていました。
 
 剣人さんは急に険しい表情になって考え込んでしまいました。

「…そうだな」

「もし、その証拠を警察に消されていたとしたら、どうなるか。私の証言でさえ書き換えられてしまうかもしれない」

 あの父親なら、警察官の誰かを買収していたとしてもおかしくない。
 いろんなことをでっちあげるくらいだ。

 逆に警察に行けば、また捕まってしまうかもしれない。
 もし、そうなれば今度こそ終わりだ。
< 150 / 411 >

この作品をシェア

pagetop