1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 剣人さんは黙り込んでしまいました。
 雷斗くんも輝星さんもどうしたらいいか分からないというように黙っていて、私自身も身を隠しながら何が出来るのか、思い浮かびませんでした。

「…剣人さん、お母さん今家にいますか?」

「いると思う。面会に行ってるのはいつも午前中だから」

「会いに行きます。それで、お母さんと相談します」

「分かった。でも、よも絶対に1か所に留まるな。俺ん家でも、俊也でも颯人でもいい。点々とするんだ。いいな」

「分かってます。泊まらせてもらう時はご飯くらい作りますね」

「あはは、楽しみにしとこうかな。…よも、1人で抱え込むなよ」

「はい。ちゃんと頼ります」

「よし、いい子だ」

 剣人さんに頭を撫でてもらって、立ち上がりました。

 とにかくお母さんの所へ急げです。

 また送って行ってくれるという雷斗くんと輝星さんに甘えることにして、部屋を出ようとしたところで剣人さんに呼び止められました。
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