1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 沈黙が部屋に満ちる。頭を下げたまま動かない。

 ここで、断れたらお父さんを助けることは多分、出来ない。
 だから、どんなに怒鳴られても諦めない。

「…俺からも、お願いします!」

 右隣から声がする。視線だけを向けてみると神野くんが頭を下げてくれていました。

「お願いします。私、家族を守りたいんです。私を助けてくれたお父さんを助けたいから、だからお願いします!」

 痛いくらい沈黙が続く。でも、頭は上げない。

 しばらくして、ふっと空気の緊張が解ける。

「顔を上げなさい」

 その言葉にゆっくりと顔を上げると、広西さんは苦笑を浮かべていました。
< 216 / 411 >

この作品をシェア

pagetop