1人ぼっちと1匹オオカミ(下)
「…すみません。お断りします」
「え、なんで!?」
「今日は神野くんと一緒に行くって約束していたので…」
「なら、彼も一緒に行けばいいじゃない」
「晴野、いいよ。後でな」
「あ、神野くん…」
神野くんはひらひらと手を振って歩き出してしまいました。
輝星さんに捕まったままの私はそのまま神野くんを見送ってしまいました…。
「なに、あいつ。感じ悪い。ねぇよも、なんであんな奴と仲いいの?」
「…すみません、やっぱり神野くんと行きます」
「蓬?」
「ごめんなさい!」
輝星さんの手を離してもらい、角を曲がって見えなくなった神野くんの背を追います。
神野くんが先に行ってしまった途端、なんだか心の奥がズキッと痛くなってしまったんです。
同時に、追いかけなきゃって思いが強くなって…。