1人ぼっちと1匹オオカミ(下)

 まだそれほど離れていなかったのか、神野くんはすぐに見つけることが出来ました。

 でも、歩くスピードがずっと速くて走ってもなかなか追いつきません。
 信号待ちで引っかかった神野くんを見て、少しほっとしました。なんとか追いつきます!

 神野くんの肩に手を伸ばそうとした途端、足を何かに引っかけてしまいました。

 って、お決まりすぎませんか!?

「うわっ!?」

「え、おっと…晴野!?」

 神野くん、倒れてきたことではなく、私だったことに驚きでしたか…。

 倒れかかった私を、声を聞いて振りかった神野くんが素早く受け止めてくれたみたいです。

 神野くんの背の向こうには焦ったように行き交う車…。

 神野くんの反射の早さに感謝です。
< 29 / 411 >

この作品をシェア

pagetop