1番目の小夜子
校門をとおり校舎に近付くにつれて美希は憂鬱になり気分が悪くなった。

『美希どーした?あんた今日なんか変だよ』
友里には悪いが、返事をする気力もなかった。

美希は『ちょっとね…』と流してため息をついた。

昇降口の前にある掲示板にクラス発表の紙が貼ってあった。
どうでもいい。
はやく校舎に入って様子を伺いたい。

放心状態の美希のかわりに友里がクラス発表を見てきてくれた。
『美希!やった、同じクラスだよ』

友里の言葉に少し安心する。
私はクラス替えというものが苦手だ。

今まで仲良くしてた子達と無理矢理に引きはがされて、知らない人ばかりの環境に置かれる。
また新しく人間関係を築かなきゃいけないなんて憂鬱だ。

たくさんグループができ、自分が入りたいグループに入れるか。
ひとりぼっちにはなりたくない。
人気者のあの子と仲良くなりたい。
1学期の教室にはただならぬ雰囲気があふれている。

あれが美希は苦手だった。
友里と同じクラスなら一安心だ。

そんなことより、校舎内の様子が気になる。

『友里、はやく教室いこ』
美希は不安な気持ちを隠し笑顔を作って言った。
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