1番目の小夜子
昇降口でローファーから上履きに履き替える。
上履きを踏みつぶす。
心臓もつぶれそうだ。

同じ部活の真弓が声をかけてきた。
『おはよー☆』
真弓はニコニコしながら楽しそうにしている。
真弓は隣りのクラスみたいだ。

3人で階段をあがり2階にある教室に向かった。
異常に騒がしい。
美希は逃げ出したかった。

教室に入ると、みんなが教卓のまわりを囲んでいた。

美希は何もしらないふりをして
『どーしたんだろうね』と友里に話しかけた。

美希達が近付くと教卓を囲んでいた人達がこっちに気付いた。
その中の1人の仲の良い友達が
『あっ美希と友里おはよ!みてよ、赤いバラが全部の教室の教卓に飾ってあるらしくて学校中大騒ぎ!』
と興奮ぎみに言った。

美希は演技力には自信がある。
おどろいたふりをしてみんなといっしょになって騒いだ。

HRのはじまりを知らせるチャイムがなると担任の先生が入ってきた。
見知らぬ男性だった。
新しい先生か…。
口うるさくない先生だといいけど、と睨みつけた。

白石というそうだ。
まだ大学をでたばかりなのだろう、かなり若い。
ちょとぽっちゃりしているが、整った顔をしている。

白石先生の話によると赤いバラは誰が飾ったのか分からないが花を飾る行為は悪いことではないので犯人探しはしないという。

美希は安心して少し気が楽になった。

そっと首からかかっているひもをひっぱり、制服の中から鍵をだして
ぎゅっとにぎりしめた。
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