鏡花水月◌˳⚛˚


本当は、少し嬉しかった。

「ずっと前から好きだ。」

嬉しいはずなのに

「嘘よ、そんなの。」

今村紺を信用出来ない。高校に入ってまで傷つきたくないから。

「馬鹿にしてたのは、俺の気持ちに気付いて欲しかったからだよ。」

「そんな理由後付けでしょ、どうせ。」

「違う!」

いや、違うはずがないわ───その言葉は今村紺の唇に奪われた。その後、私の方が浮ついた気持ちになり、勢いに任せてOKを出してしまった。今思えば、良かったと思っている。この人のおかげで変われたから。

***

入学して1ヶ月半後、中間考査が終わった。
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