鏡花水月◌˳⚛˚
「ちょっといいか、遠藤。」

そこに、今村紺が来た。私の手首を掴んでいる。いつになく真剣な顔で話し掛けてきたため、母も私も驚きだったが、ふわふわした気持ちの私は深く考えず後ろに付いていった。

「何の用よ。」

「俺と付き合ってくれないか。」

我が耳を疑った。コイツと交際?有り得ない。というか、ほんの数ヶ月前まで私を罵っていた奴が交際を申し込んでくるなんて、きっと何かあるに違いない。

「きっと合格して気持ちが浮ついているだけよ。申し訳ないけど、あんたとは付き合えない。」
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