PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
先に走って行った女子二人は、校章の色を見るに、一学年上みたいだ。
先輩女子二人は、クスクス笑った。
「文徳先輩、鈍感ー! その一年ちゃんも、うちらと一緒ですよ? ね、そうでしょ?」
共犯者って感じの笑顔を向けられる。ライバル、じゃなくて。
伊呂波先輩は、自分の栗色の髪をくしゃくしゃした。
赤みがかった茶色の目が、優しく微笑んでいる。
「あんまりおれをからかうなよ。最近、何をするにも期待されすぎてて、クリアするのも必死なんだぞ」
伊呂波先輩は生徒会長だ。
去年のオープンキャンパスで登壇して挨拶をする姿は、一瞬でわたしの目に焼き付いた。
入学式でも登壇していた。
やっぱりカッコよかった。
背が高くて、凛とした美形。
進学科で、成績はトップクラス。スポーツもできる。
何をやっても完璧。ほとんど超人っていえるくらいだ。