オネェと私の恋
そして、第一声が‥。
「えー、超かわいいわぁ。こんなかわいい子達にナンパされるのは光栄だわ。でも、ゴメンなさーい。友達と待ち合わせをしてるから、お茶はまたの機会にね」と男は、にっこりと笑顔で丁重に断っていた。
オネェ言葉で。
女性二人は、突如、男性から紡がれた言葉が理解できないようだった。
「えっ」と二人して、声を詰まらせ、お互いを見つめる。今の光景が嘘ではないことに確認すると、先ほどとは打って変わって、「じゃあ、失礼しましたー。」と脱兎のごとくその場から消え去った。
一瞬、空気が止まり、やがて何事もなかったかのように人々は駅前を通り過ぎていく。
が、先ほどのやりとりを聞いてしまった者はあからさまではないが、男に好奇の視線を投げかけていく。
近くにいた男の子が「男なのに女の子の言葉を使ってるー。」と言っていたが、連れの母親が「見るんじゃありません。」と急いで手を引いて、急ぎ足で去っていく。
そんな光景の中に「あ、優華じゃない。こっちよー。」と男が手を振って歩いてくる。
私こと、佐伯優華は、「はぁー」とため息をつきながら手を振っている男に駆け寄っていった。
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