フェアリーサイン
すごく楽しそうな笑い声。
その声にすごく胸が締め付けられる。
「……何?」
イライラする気持ちを隠せなくてあたしは磯野さんを睨み付ける。
「…………あ、は、はい。そ、そのご、ごめんなさい……」
磯野さんは、ゆっくり立ち上がってあたしに頭を下げた。
「私のせいで……ホントにごめんなさい……」
今にも消えてしまいそうな声。黒いサラサラの髪が顔を隠す。
声と肩と手が震えてて、何故か胸が締め付けられた。
きっと、泣いてるんだろう……。
自分の席がなくても、クラス中のみんなにシカトされても泣かなかったのに……。
「……謝ってくれても意味ないから止めて」
素直じゃないあたしは、そっぽ向いて冷ややかに言い放つ。
でも、事実だ。いくら磯野さんが謝ってくれても現状は変わらない。
あたしの日常(これから)は地獄になった。
ママが苦労して学費を払ってくれてるのに、全てが無駄になる。
これからのあたしにとって学校という存在が追い詰められる場所になってしまった。
まぁ、来た時からあたしにとって居心地の良い場所ではなかったけど……。
「……でも、嬉しかったよ……」