王道恋愛はじめませんか?
「あ、いや…ちょうど、俺もそう思ってたからさ。」
『!』
俺の言葉に、みのりさんも同じように驚いて見せたが、すぐに恥ずかしそうにはにかむ。
『…この前の本のことと言い、私達…なんだか気が合いますね。』
えへへ、と控えめに笑うみのりさんが、なんとも可愛らしい。
きっと、自分で言ったことに恥ずかしさを隠しきれないのだろう。
唇の左端を左手の人差し指の第一関節で軽く掻いている姿が、それを物語っていた。
そんな小さな心の声も、表情やしぐさに出てしまっているところが、とても新鮮に感じられる。
『あ、先日は本当にありがとうございました。本まで戴いちゃって。』
「いや、あれは俺が半ば強制的にあげたものだし、」
『いえいえ。やっぱり杉原さんが片倉さんに勧めるだけあって、すごく楽しく読ませていただきました。』
そう言って最後にもう一度、「ありがとうございます」と口にした辺り、みのりさんは人にもらった優しさを忘れない人だ。
「すごく面白くて、1日で読み終えちゃいました。」
『……!』
彼女の一言に、俺はさらに内心驚いてしまう。
実を言うと、俺もあの小説を初見したときは1日もかからずに読み終えてしまったのだ。
しかし、それを今言っても、彼女にただ同調したようで、なんだか現実味を感じられないと思った俺は、そのことは言わずにいた。