この感情を僕たちはまだ愛とは知らない
冷静になる時間もたまには必要だよね
私は歩きながら今日はなにしようかなと考えていた
病院から出ると秋風が心地いい
このままショッピングに行こうかな
「麻衣」
向こうから手を振ってるのは大学時代の友達だった
「日菜子」
「久しぶり」
「こんなとこで会うなんて偶然
ショッピング行かない?」
「うんいいよ」
バスで近くのショッピングモールに遊びに行った
「ねぇ麻衣それかわいい」
「えっ···あっ」
すっかり律につけてもらっていたネックレスを忘れていた
「彼氏?」
「友達」
「そっか」
「あっ私みたいものあるから」
「じゃあお昼に時計台の下で合流ね」
「うん」
私たちはそれぞれにショップを覗いていた
私は帽子を見たりアウターを見たりしながら律へのお土産も考えていた
男の子ってなにが喜ぶかな
律に似合いそうな物なかなかみつからない
時間だけが過ぎていく
そんな中で小さなお店をみつけて中に入った
自分で作れる香水のショップのようだった
律に似合いそうな香りをブレンドしてもらいマリンブルーの小瓶にいれてもらった
お店から出ると新調したばかりの私のスマホに着信があった
きっと日菜子だろうと思い無視していた
でもしばらくしても鳴り続けるのででてみることにした
「もしもし」
「入江田さん?今すぐ病院に来てください」
律になにかあったのだろうか私は日菜子に連絡をいれてからバスで病院に行った
「律」
慌ててドアを開けると看護士が驚いた顔をしていた
「あっすみません」
「彼氏さん?ずいぶん年が離れてるようだけど」
「あっ違います」
「ごめんなさいね
いきなり呼び出したりして」
「なんでもないならいいです」
看護士さんが出て行った後に律に近づいた
「律?」
「ん?」
「はいこれ」
素直じゃない言い方
でも受け取ってくれた律は優しい
「香水?」
「うん」
「サンキュ」
「まだ気分すぐれない?」
「なあ約束保護にしないよな」
「はい?」
律は器用に私の手首を掴んで引き寄せた
そのままキスされる
「まっいいや」
ぐいっと手首を引っ張られベッドの中に引き込まれた
「ちょっと」
「キスしたりない
おまえからしてよ?」
そんなのムリ···
迷ってたら律が力を込めて抱きしめてきた
「おまえ以外にやらかいな」
「うっ···」
最近ダイエットサボってたし
キスをされてまたキスを返す
まるで子供みたいなやりとり
「なあゆきってどんな奴?」
「えっ」
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