この感情を僕たちはまだ愛とは知らない
06ゆっくりと進む
私は改めて律を見る
「おまえに会わせたい人がいる」
「いいけど」
いったい律が会わせたい人って誰なんだろ
私は楽しみにしながら自分のマンションに戻った
もういいや辞めてしまおう
部屋の片付けをしながらふと思う
掃除や洗濯は大概いつも律がしてくれていた
なんか私って女失格かも
手早く片づけていると律のバイクの鍵とお財布がソファーの上にあることに気づいた
その中から写真が落ちてきた
不機嫌そうなその人といつものはしゃいでる律の笑顔
対照的な2人だけどこれって瑞希とか言う人??
そっと写真を戻して私はシャワーを浴びた
律のおかげで少し前に進めた気がする
スマホはもちろん電源を落としていた
今日は特にやることないしゆっくりしよう
なんにもやる気がおきなくて一日中ベッドで過ごしていた
いつの間にか眠りこんでいて気づいたのはお腹がすきだした真夜中
スマホをつけるとうんざりする菅さんからの着信
律からはなかった
しかたなくカップラーメンでお腹を満たしまた眠りについた
夢の中で大きなゴールデンレトリバーに乗られてる夢を見て苦しくて起きた
「わん」
わん?まだ夢でも見てるの私?
よく見れば律だった
時刻はお昼をまわっていた
「ウソ」
「カップラーメン食ったの?」
「えっと律」
律はなぜか上半身裸でジーンズだけをはいて髪にはタオルをかけていた
「なに?」
「とりあえず服着て
えっ···」
ぎゅっとそのまま抱きしめられた
「好きだよ?ね」
ね?じゃない
心臓がヤバいヤバい
律ってこんなにイケメンだったの?
「こんなおばさんじゃダメよ」
「俺は別に
キスだけじゃ物足りない」
一つキスされたのは始まりの合図
律は優しく私を導いてくれる
菅さんとは違う
「律」
「いまさら怖いとか言わせない
だって麻衣は俺だけの物であって欲しいから
菅につけられた傷、俺が治してやるよ」
「ちょっと律」
ぐいっと律が引っ張るから私は胸に顔を埋めてしまった
「感じるとこ教えてよ」
律が色々と動くから私はそのたびに鳴かされる
こんな声、自分でもきいたことない
「律ダメ」
「みいつけた」
イタズラっぽく言われて私は真っ白になった
「最高」
律はそういいながら横で息を整えている
「もう」
「なんで怒ってんの?」
「なんでじゃないわよ」
「シャワー浴びたら行きますか」
「どこに?」
「内緒」
私がシャワーを浴び終えると律もシャワーを浴びて2人で家を出た
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